「なんとなく不調」から抜け出す方法
~トラウマ療法 体験記~

皆さんはこんなことありませんか?

「仕事に行くのが憂うつ…」
「上司への報告にド緊張…」
「なぜか涙が止まらない…」

その「なんとなく不調」は、もしかすると過去のストレスフルな出来事が影響しているのかもしれません。

皆さん こんにちは!

公認心理師/臨床心理士の やまさき です。

1月から始まった職員リレーブログの番が回ってきました。

↓前回のブログはこちらから↓

心のモヤモヤを晴らすヒント~認知行動療法ってなに?~

今回のブログでは、「職場のストレスが抜けない」「ずっと緊張している気がする」という方に向けて、心と身体の仕組みについて経験を交えてお話ししたいと思います。

 

上司との面談で頭が真っ白に

実は私、以前から上司との面談の際に過度に緊張したり、頭が真っ白になってしまうことに悩んでいました。

緊張する場面ではないと頭では分かっている、でもなぜか毎回こうなる。

自分には何が起こっているのだろう?と不安に感じていました。

 

そこで、SHIPの上田理事(公認心理師)がトラウマ療法の「ソマティックエクスペリエンシング」(以下、「SE」)を学ばれていることを知り、自分の症状と向き合うためにセラピーを受けさせてもらうことにしました。

 

SEとは?

SE(Somatic Experiencing)とは、身体と神経系の統合をベースにした、安全で自然なトラウマ療法です。

※引用元:SE Japan

 

一般にトラウマとは、生命の危機や自己の尊厳を脅かすような心理的に強い負荷となる出来事を指します。(代表例:災害、事故、暴力被害など)

 

上記に照らして考えると、多くの仕事上でのストレスは診断のつくようなトラウマとまでは言えません。

一方で、職場での強いストレスや対人関係の嫌な記憶がよみがえることで、心身に大きな負担を受けることがしばしば起こります。

たとえば、職場で過去に繰り返された厳しい叱責や過度なプレッシャーが、慢性的な緊張感や不安感につながることは、広い意味でトラウマ症状であると考えられています。

SEでは、このようなストレスフルな体験に対する身体の反応を自律神経の働きから捉え、無理のない範囲で調整を図りながら、心身の回復をサポートしていきます。

喉が締め付けられる感覚

ということで、わたし自身がクライエントとなり、これまでのトラウマ的な体験についてSEを通して振り返ることで、自分の自律神経系の働きに意識を向ける練習をしています。

今回振り返ったのは、前の職場でのこと。

とても忙しい職場で、上司も常に時間に追われていました。

ある日、報告書を渡して説明を始めた瞬間、上司はちらっと報告書を見ただけで、無言でどこかへ行ってしまいました。

“いつものことなので仕方がない…”、

でもその瞬間、頭が真っ白になったのを覚えています。

SEのセラピーでは、その場面を思い出しながら、いま身体に何が起こっているのかに意識を向けるのですが、喉がぎゅっと締めつけられるような感覚に襲われました。

まるで、大事な言葉を飲み込んでしまったような感覚。

さらに、足元がふわふわして、地に足がついていないような不安定な感覚もありました。

自分では『気にしていない』はずなのに、身体はしっかりと反応していることに驚きました。

 

自律神経のレベルで理解する

自律神経は、私たちの意思とは関係なく、体の働きを調整する神経です。

先ほどの「喉がぎゅっとしめつけられる感覚」をSEの視点からとらえると、自律神経の防衛反応が起こっていると読み取れます。

このように、自他の環境の変化や過去の体験に合わせて無意識に反応し、心臓の鼓動や呼吸、消化などをコントロールしているのは人体の不思議な機能だと感じます。

↓詳しく知りたい方はこちらをチェック↓

ポリヴェーガル理論とトラウマケア:初心者向けガイド

自律神経系の3つのモード

・安全安心モード(腹側迷走神経系が優位)
→ リラックスして落ち着いている状態

・過覚醒モード(交感神経系が優位)
→ ストレスを感じ、闘うか逃げるかで対処する状態

・低覚醒モード(背側迷走神経系が優位)
→ ストレスが強すぎて、フリーズして動けなくなる状態

人は安全・安心モードにあると、ある程度のストレスには適応できると言われています。

しかし、過去の強いストレス体験があると、身体が命の危険にさらされていると感じ、過覚醒モードや低覚醒モードになりやすく、ちょっとしたストレスでも、不安や緊張を感じたり、頭がぼーっとしてしまうことがあります。

 

SEで身体反応を振り返っての気づき

・上司との面談時には、イライラしたり逃げ出したくなっていることに気づき、交感神経が優位な状態に陥っていたことが分かった

・普段の仕事中も、安心安全モードの時間は少なく、忙しさを感じないようにとフリーズさせていることに気づき、背側迷走神経系が優位な状態に陥っていたことが分かった

 

つまり、私の感じていた「なんとなく不調」の正体は、トラウマに反応して、自律神経系が過剰に防衛反応をしていたことによるものでした。

 

安全・安心のスキルを磨く

EXP立川では、トラウマインフォームドケア(以下、TIC)の視点を取り入れながら支援をおこなっています。

安全・安心な雰囲気の中でプログラムを受けていただきたい!

この想いの実現にむけて、『まずは、わたし自身の自律神経系を安全・安心モードへ』と、あらためてセルフケアの重要性に気づかされました。

 

お勧めしたい「セルフケア」

SEのセッションを受け、今では上司との面談でも頭が真っ白にならずに落ち着いて対話できるようになりました。

そこで皆さんにも「安全・安心モード」でいられる時間を増やすのに有効だった方法をご紹介したいと思います。

 

具体的には、

・温かい食べ物を食べる

・自然の音を聞く

・ストレッチをする

・自律神経のワーク 
 ※引用元:安心のタネの育て方/浅井 咲子(著)

といったことをおこないました。

 

 

セルフケアプログラムを作成!

今回の経験やその後の研修を基に、「心と身体のセルフケア」プログラムを作成しました。

このプログラムは、ご自身の体調管理の指標の一つとして日頃の自律神経の働きを観察し、状態に応じてセルフケアをおこないながら、体調の安定を図っていただくことを目的としています。

 

プログラムを受けることで、

・自律神経の働きについて

・自分の身体反応を観察する方法

・セルフケアの方法

を学ぶことができます。

 

実際のスライド(一部)

 

長く働くためには、体調の安定が土台となります。

EXP立川で「なんとなく不調」への対処法を考えてみませんか?

 

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