心のモヤモヤを晴らすヒント
~認知行動療法ってなに?~

こんにちは、社会福祉士の三浦です。

EXPスタッフがリレー形式で発信している「認知行動療法ブログ」ですが、3回目は私が担当することになりました。

EXP立川が提供している認知行動療法のサービスについて、今回のブログでは、まだカウンセラー経験の少ない絶賛トレーニング中のわたし(三浦)の視点から、お伝えしていきたいと思います。

↓前回のリレーブログ↓

「面倒くさい」を突破!認知行動療法×タスク管理で行動を変える方法

 

気持ちはコントロールできる?

 

認知行動療法の目的や基本的な考え方(「思考・感情・行動の関係性」)を簡単にご紹介します。

 

みなさんは「認知行動療法(以下、CBT)」という言葉を耳にしたことがありますか?

わたし自身、EXP立川へ来る前は「試験のときに聞いたことがあるかも?」という程度のイメージでした。

CBTはまだ馴染みのないかたも多いかもしれませんが、一言で表すならば「選択肢の幅を広げる考え方」と言えます。

とはいえ、「そんなにかんたんに選択肢の幅って広がるの?」と思われるかもしれません。

実際、アタマで理解するのと、行動に移すのとでは大きな違いがあります。

 

CBTでは、まず自分の考えや感情を客観的に捉え、それを考えることから始めます。

そして、「この考えは現実的だろうか?」と問いかけ、よりピッタリな考え方を探ります。

さらに、新しい行動を試し、その結果を振り返ることで考え方を柔軟にし、できることの幅を広げていきます。

 

「理屈は分かるけど、どうやって実践するの?」と思った方もいるかもしれません。

次のセクションでは、わたし自身の体験を交えながら、CBTの流れを具体的にご紹介します。

 

視点を変えるとどうなる?

わたしたちの日常には、思わず「またやってしまった…」と後悔することってありますよね。

例えば、

「ずっとスマホを見ちゃった…」

「余計なことを言っちゃった…」

など。

EXP立川ではCBTスキル向上のために、スタッフ同士で「クライアント(相談をする側)」と「カウンセラー(相談を受ける側)」に分かれ、CBTを用いた研修を行っています。

その中で、わたしがカウンセラーとして関わったAさんのエピソードをご紹介します。

 

クライアントであるAさんの趣味はマンガ。ついついスキマ時間で電子コミックを買ってしまい、月末にその明細を見ては、

「もっと家族と過ごす時間を増やせたな~」や「この金額を子供のために使えたよな~」など家族に対する罪悪感や後悔を感じてしまうそうです。

そうして明細を見ることでイヤな気持ちになるため、自然と明細を見ないようにしてしまい、

その結果、翌月もついつい電子コミックを買ってしまう、というループにはまっていました。

 

Aさんの悩みは、

「モヤモヤを何とかしたい」

というものでした。

 

相談を進める中でAさんは、悪い点から全体を評価する考え方のクセこころの色眼鏡」に気づきました。

彼は、明細を見たときに悪い面ばかりに注目していたのです。

そこで、「他にどんな考え方ができるか?」を一緒に考えてみました。

 

すると、

「たのしい時間の必要経費」

「がんばった自分のご褒美」

「わたしだけの大切な時間」

といった考えが浮かびました。さらに、1日当たりの出費に換算すると100円以下だったことにも気づきました。

こうした視点を変えたことにより、Aさんは明細を見たときの罪悪感が薄れ、代わりに「平静さ」「幸福感」といったポジティブな感情を感じるようになりました。

 

Aさんとの面談では、問題となる行動を「やめる」ことが目的ではなく、考え方のクセを見つめ直し、気持ちが楽になる思考をともに探ることを目的に話を進めました。

CBTでは、アプローチの仕方がたくさんあります。Aさんも、もしかしたらマンガを買うことをやめてしまう方法を探ってしまっていたのかもしれません。

 

世界は「そのまま」見えていない?

Aさんのように、わたしたちにはそれぞれ 「考え方のクセ」 があります。

たとえば、理科の実験の「光の屈折」 をイメージしてみてください。

【引用:小学館HugKum】

みなさまも実際に見たことがあるかと思いますが、水の入ったコップを通して向こう側を見ると、光の屈折が起きて実物とは違うカタチに見えますよね。

同じように、わたしたちは 「出来事そのもの」 ではなく、「自分の考えのフィルターを通した世界」 を見ています。

CBTでは、自分の思考のクセを知り、より柔軟な視点を持つことで見えていなかった部分への気付きを目指します。

ネガティブ思考に偏る人
 → 少しポジティブな面を探す

完璧主義の人
 → もう少し「適当」でも大丈夫と考える

このように、考え方を少し変えてみるだけで、新たな選択肢が見えてくることが多いです。

また、だれかとのコミュニケーションで違和感を感じたときにも、「人それぞれ見ている視点が違う」という考えがあることで、きっと自分とは見えているカタチが違っているのかもと相手を理解しようとする第一歩になってきます。

 

EXP立川が支えるCBTの実践

EXP立川では、CBTの実践をサポートするために、さまざまなプログラムを提供しています。

マインドフルネス(感情と向き合う)
SST(課題への対処法探し)
陽転思考(良い面を探す習慣作り)

こうしたプログラムを通じて、「自分の課題を客観的に見て、変えられる部分に対してアプローチする力」 を身につけます。

たとえば、上司からの指摘を深刻に受け止めすぎてしまう人が、マインドフルネスを通じて感情に向き合うことで、冷静に対応できるようになった例もあります。

また、ネガティブな出来事にとらわれがちだった人が、陽転思考を実践することで気持ちの切り替えが早くなったという声も聞かれます。

CBTの考え方を学び、自分で課題を乗り越えるチカラを育むことが、EXP立川の目指すサービスのかたちです。

 

たとえるなら、火災(課題)に直面したときに初期消火(できる取り組み)をしていただくイメージです。

 

CBTは日常でも活かせる

CBTはカウンセリングで受けるイメージかもしれませんが、本当のゴールは「自分でもできる」ようになることにあります。

そのため、EXP立川では、プログラムで学んだことを日常生活にも取り入れていただくことにもチカラを入れています。

具体的には、以下のステップでCBTのトレーニングをしていただきます。

自分の考え方のクセに気づく
  • 「失敗=全部ダメ」と極端じゃない?
  • 「少しのミスも許せない」完璧主義になってない?
別の視点を試す
  • 「1回の失敗では全ては決まらない」
  • 「少しのミスなら、次に活かせばいい」
小さな行動を変えてみる
  • 落ち込んでいるときは軽く散歩をする
  • 怒りが収まらないときは深呼吸をする

 

 

CBTは「一度で完璧にできるもの」ではなく、「試しながら、自分に合った考え方を探していくもの」です。

「だれかに相談したい」「一人では難しい」と感じたときは、ぜひEXP立川にご相談ください!

 

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