小鳥遊さん(ADHDピアサポーター)

「当事者だからこそ伝えられるプログラムを」
- タスク管理トレーナー(ピアサポーター)
- 小鳥遊(たかなし)さん
-簡単な自己紹介をお願いします。
小鳥遊(たかなし)と申します。本名は高梨健太郎(たかなし・けんたろう)と言います。発達障害(ADHD)の当事者で、会社員として3社経験し、現在はフリーランスとして活動しています。
「忘れっぽい」「先送り癖」「自責傾向」「段取り下手」といった発達障害特性の影響もあり、3社のうち1,2社目ではいずれも仕事がうまくいかず、そんな自分を責めて適応障害になり休職してしまいました。
そんな自分でも仕事が普通にこなせるよう、「仕事を書きとめる」「先送りしないように仕事を分解する」「途中経過の細かい締切りまで書いておく」などの工夫をしたところ、仕事がうまくいくようになりました。
その効果は抜群で、後にそういった工夫を「タスク管理」と言うのだと知り、私と同じような悩みを抱える方々にタスク管理を紹介するという活動をするようになりました。
そんなタスク管理を中心とした仕事術をまとめた「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(2020年4月刊行・サンクチュアリ出版)は、発行部数10万部を超えるまでになりました。

-EXPではどのような役割を担っていますか?
はじめの頃は「しくじり先輩」という自分の経験を伝えるプログラムを月1回のペースで提供していました。
今では、月に6回プログラムを担当しています。2回はタスク管理や仕事に関するプログラム、4回は障害について利用者の皆さんと一緒に考えるプログラムなどをおこなっています。
障害当事者でありながら会社員として安定・継続した就労ができた経験を持っていることから、利用者様と職員さんの中間みたいな役割だと自分では思っています。
EXP立川は私以外にも外部講師の方がいらっしゃいます。障害当事者や専門職の外部講師を招へいし、画一的でないところが他の就労移行支援の事業所と差別化されているところだと感じます。

-提供している支援サービスで力を入れている部分を教えてください。
タスク管理に関するプログラムにはもちろん力を入れています。
タスク管理の習得を支援してくれるウェブツール「タスクペディア」というものがあります。発達障害の当事者である私が、その特性をカバーするためにおこなってきた仕事の進め方を基に創られた『タスク管理ツール』です。
EXP立川のプログラムにもこのタスクペディアを使ったプログラムがあり、私がその講師を担当しています。ツールの使い方にとどまらず、仕事や生活を円滑に進める上でのタスク管理の効果を具体的に伝えながら、プログラムをおこなっています。
また、障害について一緒に考えるプログラムでは、もはや就労移行支援のプログラムの域を超えて、自助会や当事者会のような内容となっています。話に熱が入り、非常に深い気づきと学びのある、良い意味で「刺さる」展開になっています。

-小鳥遊さんの視点から、障害者就労でうまく仕事を継続する秘訣を教えてください。
個人的には合理的配慮を「分かりやすく」「できるだけ絞る」ことだと考えています。私が安定して継続就労ができた理由は、配慮事項を「怒らないで欲しい。改善点があれば提案という形でお願いしたい」という点に絞ったからだと思っています。
そこまで絞り込むには、「自己理解」と「不足スキルのカバー」の両方が必要です。
自分には何ができて、何ができないのか。できない点はどうやってカバーするか。そして、カバーしきれない部分だけ、会社やまわりの人たちへ配慮をお願いする。
このように考えると、仕事を継続しやすくなると思います。

-EXP立川のプログラム受講をおススメするポイントはどこにありますか?
まずは「タスク管理」というプログラムがあることです。他の就労移行支援の事業所でも「タスク管理」と銘打ったプログラムはあるかもしれませんが、ここまでのことはやっていないと思います。
そして私のような障害当事者をプログラムのファシリテーターに任命しているところもポイントです。自助会や当事者会のような雰囲気の中から、皆さんの自己理解が深まっていくことを体感しています。
EXP立川には「一人ひとりに合ったワークスタイルを実現するために、自らを知る機会と経験を創造する」という理念があります。
この「自らを知る機会と経験」を促進するために、公認心理師や精神保健福祉士による「認知行動療法」や「SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)」などの自分を見つめなおすプログラムが多数開催されています。
そして、何より「利用者様の自主性を常に重んじている」という点はとても魅力だと思います。決められたレールから外れないよう「こうしなさい」「ああしなさい」とビシビシ鍛える方法もあるのかもしれません。むしろそうした方が手っ取り早く「就職」できるのかもしれません。
しかしEXP立川は、あくまで自主性を重んじ、ちょっと外れかけた方向へ進んでいたとしても、それをフォローする準備をしながら見守る、そんな姿勢の事業所です。
一般就労では傍にいてくれる支援者はいませんので、いかに自走できるようになるか、そこを真摯に考えていくと、このような自主性を尊重した支援が必要なのだと私は思います。

-最後に就労移行支援のサービス利用を検討している方へメッセージをお願いします。
いま就労移行支援のサービス利用を検討されているのだとしたら、その段階で喜んでいただいて良いのではないかと思います。
そして次に、「どこの事業所を選べば良いのか?」という段階です。
結論から言うと、「できるだけ色々な事業所の体験プログラムを受けてみる」ことがおススメです。そして、自分の感覚・印象を大事にして選ぶのが良いと思います。
ことEXP立川の特徴はというと、卒業生や利用者様が口を揃えているのは『自由』という言葉です。
自由というとライトな印象を受けます。しかし自由には自己決定がセットです。
どんなプログラムを受けるか、体調などから通所日数をどう判断するか、どんな企業に就職活動をするのか、最終的な決定権は自分にあります。
職員さんのサポートは手厚いですが、自己決定を重ねて「自走」できるようになれる環境が、EXP立川にはあると思います。
よろしければ、一度体験プログラムを受けにいらしてください。一緒に話し、考え、進んでいきましょう。
このインタビューだけでEXP立川の支援内容をご理解いただくのは難しいかと思います。随時、見学や体験を受けつけておりますので、お気軽にご連絡ください。



